異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
(メイドしゃんには、人質がいるのに……。こんなに追い込んで、大丈夫なのかな?)

 彼女は何が起きてもいいようにドレスの裾を握り締め、警戒し続ける。

「話し合いじゃ解決しそうにないから、調べてもらおう」
「お、お坊ちゃま……。一体、それは……」
「僕の大事な妹が危険に晒されているのは、間違いないんだ。普通の美味しいティーセットなら、それに越したことはない。君だって、疑いを晴らしたいだろ?」
「も、もちろんです! しかし! 少々大袈裟では……?」
「調べられたら、困るようなことでもあるの?」
「い、いえ……」

 10歳の子どもに、成人女性が詰められている。

 これを異常と呼ばずしてなんと呼ぶべきか。
 ロルティは突如豹変した兄の姿を横目に、自分がどんな発言をするべきか考える。

(このまますべてを、おにいしゃまに任せて。本当にいいの……?)

 ロルティがメイドと謎の男の会話を盗み聞きしたことは、護衛騎士だけが知っている。彼は今、父親とともにいるはずだ。

(失敗したら、このメイドしゃんは男の人に命を狙われて……。妹しゃんも、殺されちゃう……!)

 その前にカイブルが気を利かせて、人質の保護ができていればいいが……。
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