異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
 パッと見問題はなさそうだが、背中は大変なことになっているのかもしれない。

「怪我、してるなら……」
「こんなの、かすり傷さ」
「でも……!」
「心配しないで。父さんとカイブルがいるから、問題ないとは思うけど……」

 ジュロドはけして、ロルティに背中を見せなかった。
 妹を心配させたくなかったのだろう。

 兄は彼女の上から退くと、目の前に姿を見せた父を見上げた。

「ジュロド。よくロルティを守ったな」
「妹を守るのは、兄として当然のことだよ……」
「あとのことは、大人に任せろ」

 彼は背中が痛むのか、ベッドの上で丸まって目を閉じてしまう。

 ロルティは慌てて聖なる力で兄の傷を治そうとしたが……。
 彼女を抱き上げた父親に引き離されてしまい、それは叶わなかった。

「パパ……!」
「この状況でも泣き喚くことなく冷静でいられるとは……さすがは俺の娘だな」
「あのね! メイドしゃんは悪くないの! 妹しゃんを、助けたいんだって!」
「ああ。カイブルから聞いた」
「じゃあ……!」
「不問とまでは行かないが、ロルティが心配するようなことは何もない」
「ほんと? よかった~!」

 ロルティはほっと胸を撫で下ろしながら、安心したように笑顔を浮かべる。
 無邪気な幼子の様子を目にしたメイドは、瞳から大粒の涙を流して謝罪を繰り返す。
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