異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「私はお嬢様に、なんてことを……!」
「後悔するくらいなら、はじめから毒殺など企てるな」
「申し訳ございませんでした……!」

 ジェナロから冷たい言葉を投げかけられたメイドが頭を下げる姿をじっと見つめていれば、カイブルも黒ローブの男と交戦を終えたようだ。

 武器を奪い床の上に組み伏せた彼は、涼しい顔で公爵に報告する。

「ぐ……っ」
「閣下。侵入者を捕らえました」
「よくやった。こいつは何者だ」
「神殿の神官です」
「あいつらも懲りないな……」

 ジェナロは呆れた様子でどこか遠くを見つめながら、ぼそりと呟く。

 すると彼の言葉に同意を示したカイブルが小さく頷くと、感情の読み取れない瞳で彼に告げた。

「やはり、司祭も再起不能にするべきかと」
「無駄なことを……! 我々は神殿が壊滅しようとも、必ず本懐を遂げて見せる……!」
「自害されては面倒です。猿轡を噛ませておきましょう」
「そうだな。長時間ロルティの前で、穢らわしい存在を晒すのも教育上よくないだろう。連れて行け」
「承知いたしました」
「んんー! んんー!」

 口元に布を押し込まれた男が何かを伝えたそうにくぐもった声を出したが、カイブルはそれらの言葉を無視して退出する。
 壁際で怯えていたメイド達が嘆き悲しむ実行犯を拘束して廊下へ出れば、家族3人と獣2匹が残された。
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