異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「むきゅう……!」
「わふ……!」

 動物達は主を心配してのことだろう。
 危機が去った瞬間一目散に勢いよく床を蹴り、ロルティの胸元へ飛び込んでいく。

 普段であればベッドに押し倒されているところだが、彼女は今父親に抱きしめられているからか。
 どうにかバランスを崩すことなく2匹を受け止めると、無事を喜び合った。

「うさぎしゃん、わんちゃん……。よしよし。怖かったね……」
「きゅうむ……」
「わふん!」

 獣達と抱き合ったロルティは、ベッドの上にいる兄が先程まで荒い息を吐き出していたはずの吐息が聞こえないことに気づく。

「おにいしゃま……?」

 意識があれば、愛する妹の問いかけに兄が応えぬがずがない。

 彼がだんまりを決め込んでいるのならば、痛みで意識を消失させてしまったと考えるべきだろう。

「パパ!」

 ロルティは父親の言葉に従い、すぐに聖なる力を使わなかったことを悔やむ。
 もしも彼女がもっと早くに祝詞を紡いでいれば、兄は苦しまずに済んだからだ。
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