異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「全神官に継ぐ。10分以内に、礼拝堂へ集まりなさい。聖女様より、皆様へ信託を授けます」

 マイクをオフにしたカイブルは、小太りの司祭を軽々と持ち上げ背中に背負うと先陣を切って無言で歩き出す。
 その様子を目にしたロルティは、感嘆の声を上げて喜んだ。

「カイブル、すごーい! 力持ち~!」
「わふっ」

 きゃっきゃと嬉しそうにはしゃぐ愛娘と犬の姿を目にして微笑んだ父親は、黙って護衛騎士のあとに続いた。

「一歩、ニ歩、三歩~」
「わふっ。わふん、わふーん!」

 行きは知らない道を恐る恐る下るからか永遠にも感じるが、帰りはあっと言う間に過ぎていく。
 父親が足を動かし階段を上がるたびに歌っていれば、あっと言う間に地上へと到着した。

「この扉を開けた先には、ロルティ様の言葉を待ち続ける神官達の姿があります。合図は私が出しますが……」
「うん! わたし、がんばる!」
「閣下。ロルティ様が無理をされるようであれば……」
「ああ。任せておけ」
「では、参りましょう」
「はーい!」
「わふっ」

 ロルティの同意を得たカイブルは、勢いよく大広間へと躍り出た。
 先程までただ広いだけの空間であったはずのそこは、白装束を身に纏った神官達でいっぱいになっていた。
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