異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
(カイブルの、喜ぶことをすればいいんだ!)

 閃いたロルティは以前父親と兄が頬に口づけた時、とても嬉しそうにしていたことを思い出す。

(パパやおにいしゃまじゃないから、反応はよくないかも、しれないけど……)

 行動してみなければ、何も始まらない。
 彼と密着しているのをいいことに。彼女は思い切って、カイブルの頬に唇を寄せた。

「ロルティ様。何を……」

 小さなリップ音とともに、ロルティの小さな唇が彼の頬に触れる。
 戸惑っていた彼は幼い主が自分に何をしたかすぐに気づき、耳を朱に染め狼狽えた。

「あ! カイブル! もしかして、すっごく照れてる?」
「い、いえ……。そのようなことは、けして……」
「わぁ~! すっごくかわいい!」
「私が、ですか」
「うん!」

 ロルティは光り輝く太陽のような笑みを浮かべると、もっと彼のかわいらしい姿を見たいと一念発起する。

(さっきは頬だったから、今度は……)

 じぃっと彼の瞳を見つめたロルティは、カイブルの額に狙いを定め――再び口づけようとしたが、失敗した。

「貴様……! 俺の愛娘から、何を受け取ろうとしている……!」

 地を這うような低い声が後方から聞こえた瞬間。
 彼女の父親がロルティを抱き上げ、引き離したからだ。
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