異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「あっ。パパ!」
「閣下。これには大きな誤解が……」
「あのね! カイブルに、喜んでほしかったの!」
「そうか。ロルティは異性に、口づける意味を知らないからな……」
「むぅ? わたし、なんか変なことした?」

 不思議そうに首を傾げる愛娘を顔が見えるように抱きかかえ直した父親は、真剣な眼差しをしたまま彼女に告げた。

「いいか。ロルティが顔に口づけていい相手は、俺とジュロドだけだ」
「どうして?」
「君を深く愛しているからだ」
「わたしだって、カイブルのことが好きだよ!」
「な……っ。す、すすすす、好き、だと……?」

 愛娘がカイブルを好きだと告げるのを聞くのは二度目のはずだが、父親は顔を真っ赤にして狼狽えた。
 ロルティの好きは人間としてであり、まさか恋愛感情的な意味での好きだと思っていなかったからだろう。

「おのれ、カイブル・アカイム……! 我が娘が幼子であるのをいいことに、洗脳するとは……!」
「閣下、誤解です。お気を確かに」
「ええい! 冷静でなどいられるものか!」

 怒り狂ったジェナロは、護衛騎士に怒声を浴びせる。
 だが、冷静なカイブルはさしてダメージを受けることなく無表情で主を見つめていた。
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