異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「ハリスドロア家はジュロドに継がせる! ロルティは生涯独身のまま、男を知ることなく我々家族とともに暮らすのだ!」
「ロルティ様は公爵令嬢です。嫁がないと言う選択肢など、ないのでは……」
「俺の決定に文句でもあるのか!?」
「……いえ、なんでもありません」

 表情こそ普段と変わらないが、内心ではまんざらでもないのだろう。
 彼は機会があればロルティの相手に立候補できないものかと匂わせる発言をしたが、当然それを父親が許すはずもない。

 一方的に怒り狂うジェナロに、話半分に聞き流すカイブル。
 ロルティが2人の様子をぽかんと目を丸くして見つめていれば、不思議そうな少年の声が聞こえて来た。

「あれ? こんなところでみんな集まって……。どうしたの?」
「おにいしゃま!」

 ロルティが父親に抱きしめられたまま姿を見せた兄を呼べば、よく似た笑顔を浮かべた彼がひらひらと手を振った。
 ジェナロから理由を聞いたジュロドは、眉を顰めながら言葉を紡ぐ。
< 189 / 192 >

この作品をシェア

pagetop