異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
 ロルティは低い声で父親が告げたことに気づき、首が痛くなるのを我慢してジェナロを見上げた。
 父の眉がより一層不機嫌そうに歪められていることを知った彼女は、それを元に戻すためだろう。

 ペタペタと頬に触れて、ペチペチと叩いた。

「パパ! ニコニコって、してー!」
「生き別れた俺の娘だ。丁重に扱うように」
「てちょーん?」
「お姫様のように接しろと言うことだ」
「わたし、キラキラ?」

 父親の解説を受けた愛娘は童話の絵本に書かれたお姫様のような姿を思い浮かべ、ジェナロに問いかける。
 彼が頷いたのを確認したあと、ロルティはキョロキョロと雑貨屋の中を見渡し始めた。

「ハリスドロア公爵令嬢……。一体何をお探しで……?」
「頭に付けるの!」
「アクセサリー、でございますか……?」
「ピカピカ!」

 愛娘が何を探しているのか瞬時に理解した父親は行く先を塞ぐ雑貨店の店主を押し退け、ずんずんと一目散にある場所へ足を踏み出した。

「これだな」

 ジェナロが指し示したのは、ヘアアクセサリーが並んでいる棚だ。
 その中にはロルティが探していた王冠やティアラがある。

「さすがわたしのパパ! お目当てを見つけるのが、はやーい!」

 テンションが上がりっぱなしの彼女はきゃっきゃと大喜びしながら、瞳を輝かせる。
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