異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「俺達だけが、ロルティの家族だ」
「父さん……」
「奪われたくなければ、守ればいい」
「ロルティに近づく男は、全員敵だと思っていいの?」
「ああ。煮るなり焼くなり好きにしろ」
「……うん。僕、強くなるよ。ロルティは絶対、誰にも渡さない」

 息子に伝えたところで認めないだろうが、妹に対する執着心は大嫌いな母親によく似ている。

(そして、俺にも……)

 だからジェナロは、息子が苦手だった。
 ロルティがやってくる前は付かず離れずの距離で成長を見守るつもりだったが、彼女が姿を見せてくれたおかげで親子としての絆が深まったような気がしてならない。

「全員で身につけるか」
「お揃いのリボンを?」
「ああ」
「父さんが胸元にうさぎの毛を使ったかわいらしいリボンをつけていたら、何事かと二度見されるだろうね」
「公爵家を笑い者にするような人間は、全員剣の錆にしてやればいい」
「確かに」

 ジュロドはロルティが大事に育てているアンゴラウサギが神獣だと知らないが、貴族の中にはこの毛糸を目にしただけでそれが神聖な力を帯びているとすぐに気づくだろう。

(もう二度と、愛しき我が娘に手出しはさせない)

 決意を込めたジェナロは全員分のリボンを編み終えると針を置き、息子と自分の胸元に結びつける。
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