異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
(パパとおにいしゃまったら……。わたしのことになると、すぐに喧嘩ばっかり……)

 ロルティはぷっくりと頬を膨らませ不貞腐れながら、2人の冷戦状態をアンゴラウサギとともにじっと見守った。

 ――5分ほど誰も口を開かぬ、気まずい空気が流れる中。

 ため息を溢したジュロドは、父親から視線を逸らすと妹が涙を瞳に浮かべていた理由を知った。

「……大声で、騒いでる奴がいるだろ。そいつの声を聞いて、不安がってる……」
「そうか。その件で、ロルティに相談があって来た」
「わたしに?」
「ああ。外で騒ぎを起こしている奴らは、俺が胸元につけているリボンに目をつけた。高値で毛糸を卸してほしいそうだ」
「おろ?」
「売って欲しい。これなら、理解できるか」
「うん!」

 つまり捨てる予定だった毛が商品となって売買され、お金に変わると言うことだ。

 ロルティは先程まで悲しんでいたのが嘘のように瞳をキラキラと輝かせると、父親を見つめた。

(うさぎしゃんの毛が、お金になるんだ……!)

 ロルティは自分の力でお金を稼いだことがない。
 それは正式な聖女になるまでは難しいと、養父から何度も言い聞かせられてきたからだ。
< 92 / 192 >

この作品をシェア

pagetop