異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
(毛糸を販売したら、どんなものに使われるかわからないし……)

 小さな頭をフル回転させて。
 どうするのが一番ロルティとアンゴラウサギにとっていいのかと考えていた彼女は、兄と父親の胸元につけられている毛糸のリボンを見つめて閃く。

「そうだ! 毛糸のままじゃなくて、編み物の作品を売るのは、どうかな?」
「むきゅう……?」
「ねぇ、パパ! わたしの飼ってるうさぎしゃんの毛を使って、リボンを作ったとは言ってないもんね?」
「ああ。糸の入手元は、知らぬ存ぜぬを貫いておいた」
「だったらきっと、大丈夫だよ!」

 アンゴラウサギの毛は、ロルティの飼っている獣からしか採取できない。

 ならばそれを使って作成した作品を限定して販売することによって、付加価値をつければいいのだ。

 もしも金に目が眩んで既製品をバラバラに解いて毛糸を手に入れた人々が新しいものを生み出したとしても、すぐにそれが非正規なものだとわかるようにしておく。
 そうすれば問題が起きた時にすぐに犯人を探し出し、販売元を叩けるはずだ。

「うさぎしゃんの毛から作った糸は、悪用させないよ!」
「んきゅう……」
「わたしが絶対に、守るから!」
「むきゅ……」

 ロルティの力強い説得を受けたアンゴラウサギは、「主を信じてみよう」と言う気になったようだ。
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