異世界から本物の聖女が召喚されたので、聖女見習いの幼女は不要のようです。 追放先でもふもふとパパに溺愛されているので、今更聖女になんてなりません!
「聖獣の毛糸なんて必要ない! 神殿から指名手配犯を見つけた報奨金を受け取れば、あっと言う間に億万長者だ!」
「ロルティ!」

 男の叫び声とともに、空に浮かび上がった謎の球体が眩い光を発した。

「パパ……!」

 パァンっと耳を劈くような破裂音が響く中。

 愛娘を庇うために父親が身を丸め、ロルティは危機を悟りジェナロの胸元を握り締めて目を閉じる。

(何が起きたの……?)

 もしも瞳を見開いた際、父親が倒れていたらと思うと恐ろしくて仕方ない。

 だが、このままずっと目を閉じているわけにはいかないだろう。
 ロルティは勇気を振り絞り、ゆっくりと瞳を開き――。
 そして状況を把握した。

「わっ。ほんとにいる!」
「おねえしゃん……?」
「やっほー」

 突如現れたのは、笑顔を浮かべてひらひらと手を振るキララだった。

 彼女の隣には、聖騎士のカイブルがいる。感情の読み取れない瞳で、じっとロルティを抱きかかえるジェナロを見つめていた。

「あのね。あたしはあなたを始末しなきゃ、元の世界に帰れないんだって!」
「……わたしのこと、殺すの……?」
「ごめんね? 苦しまないように、一瞬でやっつけてあげるから……!」

 先程まで騒いでいた男が、いつの間にかこの場から姿を消しているからか。
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