【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「ええ、日誌はその場でマーレ少将にお渡しするだけなのです。マーレ少将もお忙しい方ですから、マーレ少将のお時間が空いたときに確認してもらい、その日誌は荷置き場のボックスに置かれます」
 荷置き場というのは、軍宛に届いた荷物や手紙、書類などをそれぞれの部署に割り当てて保管しておくところだ。そこから各自宛、部署宛の手紙などを事務官が持ってきて配ってくれるのだ。
「だけど昨日、マーレ少将から日誌を突き返されたようでしたので……その……見てもらえなかった。もしくは暴言を吐かれた……とか。とにかく、カタリーナさんにとってよくないことが行われたのではないかと思って、それで心配していたわけです……」
 なるほど。ようはライオネルからカタリーナが嫌われたと、そう解釈したのだろう。挙げ句、暴言などを吐かれたと。
「そうなのですね。ですが、マーレ少将はわたしの日誌を確認してくださいました。今、解読している魔導書はゾフレ地区のものですが、ハイネ地区の魔導書に書かれていた古代文字と類似性があると指摘したところ、マーレ少将も興味を持たれたように見えましたので、それを熱く語りましたところ……」
 アンヌッカの話が面白いのか、みな、興味深く耳を傾けている。
「俺は魔法が嫌いだ、帰れと言われ……。日誌に押印はしてくれたのですが、そのまま突き返されました。ですが、悔しいですよね? 魔法が嫌いだなんて。わたしたちの生活は魔法で成り立っているというのに。何気なく使っている魔法具なんて、まさしく魔法の塊ではありませんか。自分だって使っている魔法具があるくせに、魔法が嫌いだなんて。あまりにも腹が立ちましたので、魔法のよさや古代文字の素晴らしさを説こうとしましたところ『帰れ』と言われただけです」
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