【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
昨日のライオネルとのやりとりを思い出しただけでも、お腹の真ん中あたりがむかむかとしてくる。
「な、なるほど……カタリーナさんは、マーレ少将に言い返したわけですね?」
イノンが大きく目を見開いて凝視してくる。
「言い返したわけではなく、ただ魔法の素晴らしさを説こうとしただけです。ああいう人にはしつこく言って聞かさなければなりません。と思っていたところに、王太子殿下が来られまして……」
「な、な、な、なんと……殿下にまでお会いになられたのですか?」
「えぇ。これからわたしが魔法について力説するぞ、と気合いを入れたときに来られまして、もうこれ以上は無駄だから、あきらめて帰りなさいと。そういう流れです。残念です。わたしは魔法の素晴らしさ、この魔導書の貴重さをいかにして伝えようと意気込んでいたのに、出鼻をくじかれた気分です」
ふふっとかわいらしい笑みがこぼれた。笑い声の発生源にみなの顔が一斉に向いた。
「あ、申し訳ありません。日誌を持って参りました」
すらりとした女性が一人。髪の毛は低い位置で一つに束ね、見るからに事務官だとわかる制服を身につけている。
「あぁ、カタリーナさん。紹介が漏れていました。昨日は、休みでしたので」
イノンが間を持つような形で声をかけてきた。
「な、なるほど……カタリーナさんは、マーレ少将に言い返したわけですね?」
イノンが大きく目を見開いて凝視してくる。
「言い返したわけではなく、ただ魔法の素晴らしさを説こうとしただけです。ああいう人にはしつこく言って聞かさなければなりません。と思っていたところに、王太子殿下が来られまして……」
「な、な、な、なんと……殿下にまでお会いになられたのですか?」
「えぇ。これからわたしが魔法について力説するぞ、と気合いを入れたときに来られまして、もうこれ以上は無駄だから、あきらめて帰りなさいと。そういう流れです。残念です。わたしは魔法の素晴らしさ、この魔導書の貴重さをいかにして伝えようと意気込んでいたのに、出鼻をくじかれた気分です」
ふふっとかわいらしい笑みがこぼれた。笑い声の発生源にみなの顔が一斉に向いた。
「あ、申し訳ありません。日誌を持って参りました」
すらりとした女性が一人。髪の毛は低い位置で一つに束ね、見るからに事務官だとわかる制服を身につけている。
「あぁ、カタリーナさん。紹介が漏れていました。昨日は、休みでしたので」
イノンが間を持つような形で声をかけてきた。