【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「それで、用はなんだ? ここに紅茶を飲みに来たわけではないだろう?」
「そうそうよくわかってるね。例の彼女、どんな感じ? 国王がね、心配しているんだよね」
「心配……?」
 人に結婚を命じてきたあの国王が、いったいなんの心配をするというのか。
「あぁ、大丈夫大丈夫、君の新婚生活について案じているわけじゃないからさ。いや、場合によっては、父の前で仲の良いラブラブ夫婦を見せつけてもらう必要があるかもしれないけど」
 ラブラブ、見せつける。
 その言葉を聞いただけでも、ざざっと背筋に悪寒が走った。
「おいおい、あからさまにそういう嫌そうな顔をするなよ。ところで、彼女の働きぶりはどうだい?」
「彼女?」
 その「彼女」に心当たりがないとでも言うかのように、ライオネルは目をすがめた。
「あぁ、いやだいやだ。わざとらしい。メリネ研究所の彼女だよ。本当にあの国王は小心者でね。スパイじゃないかって疑っているんだよね」
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