【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 父親の言わんとしていることも、アンヌッカは理解できる。だが、いっときの感情でこの縁談を断ったその後、多くの人に迷惑をかけるのが目に見えていた。特に、研究所に所属する魔導士たちは、今後の仕事にすら影響があるだろう。
 ただでさえ、勉学に励んできても、環境のせいで国家魔導士にすらなれなかった彼らだ。
「……お父様。結婚は家のためでもあるものです。特に昔は、家と家の繋がりを重要視したものが多かったと聞いております。ですから、今回の縁談もこの研究所と軍を繋ぐためのもの。そう割り切ってしまえばいいのです」
 アンヌッカが名案だとでも言うかのように、パチンと手を叩く。
「お父様。お兄様。わたし、この縁談をお受けします」

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