【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「なんだ?」
 ライオネルがじっと見つめていたのが気になったのだろう。碧眼を細くして、見つめ返してきた。
「いや? これだけのことで……おまえも暇なのかと思っただけだ」
 机の上に置かれたのは、ライオネルに対する苦情の文書だろう。しかも用紙の形式から推測するに、魔法研究所からの文書だ。
「暇ではないよ? 誰かさんが魔導士と協力する気ないみたいでね。わかる? この苦情の山。私はこれを一つ一つ確認して、彼らに謝罪してきたわけだ。この私が」
「そうか。それはご苦労だったな」
「あのさ、君。自分の立場わかってる? 私は王太子。次期、国王ね? 君はただの軍人。しかも大佐。私に文句を言うのは、総帥になってからにしてくれないかな?」 
 ライオネルの榛色の瞳が鋭くなる。
「そうやって、都合が悪くなると睨むのをやめてくれない? ただでさえ君の外見、不評なんだよね」
 外見が不評と言われても、好き好んでこの顔で生まれてきたわけではない。
 引き締まった一重の目元が人に威圧感を与えると、ユースタスからはよく言われている。さらに、少し長めの濡れ場色の髪も相成って、威圧感が増すようだ。
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