【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「もちろん、仕事としての誇りはあります。ですが、わたしの場合は、やっぱり古代文字、古代魔法が好き。それが一番なんですよね。軍の魔法研究部門での仕事も魅力的ではあるのですが、軍という組織に縛られたくないといいますか。ぶっちゃけ、メリネは身内がやっているので楽なんですよね。自由といいますか。まぁ、そんな感じです」
 隠すことなく本音をぶつけるアンヌッカに、ライオネルはゆっくりと目を瞬いた。それから、ふっと鼻で息を吐いて、肩をふるわせて笑い出す。
「はははは……。なるほどな。だからおまえは面白い。やはり軍に欲しい存在だ。だが、それにはメリネの所長の許可が欲しいのだろう?」
「はい、そうしていただけると、わたしもやりやすいと言いますかなんと言いますか……って、軍に入るつもりはありません」
「なるほどな」
 ライオネルは、トントントンとリズミカルに机に指をたたき付ける。
「はっきりと言わせてもらうが、おまえは驚異なんだよ」
「驚異……?」
 そう言われてもアンヌッカにはピンとこない。腕力だって決して強いわけでもないし、魔力があるわけでもない。そんななか驚異と言われても、わけがわからない。
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