【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「君の奥さんが、リーナだったらよかったのにね」
「どういうことだ?」
 ユースタスの言葉の意味がわからないとでもいうかのように、ライオネルは目を細くした。それはもう、睨みつけるかのように。
「君だってさ。そろそろ自覚してるんじゃないの?」
「何がだ」
 先ほどからユースタスは何を言いたいのか。
「顔を合わせたことのない妻よりも、身近にいる女性に惹かれるのは仕方のないことかもしれない。だって奥さんを好きになる要素が一つもないよね? 会ってないんだから」
 だが手紙のやりとりくらいはしている。
 そんなに頻繁ではないが、彼女が何をしてどうやって過ごしているのかくらいは知っている。それはアンヌッカの手紙に書いてあるからだ。
「ほんと、君の奥さんも偉いよね。家に帰らない夫を待っているわけでしょ?」
「俺がいないのをいいことに、好き勝手やっているだろう」
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