【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「リーナに心配されるようでは、私もまだまだだな。もちろん、やるよ。もしかしたら中にもまた古代文字が溢れているかもしれないからね。そうなったら私とライオネルだけではお手上げだ。できればリーナが協力してくれている今のうちに、確認しておきたい」
 だが、ここまで来れば後戻りはできない。
 ずっと隠されていた部屋には何があるのか。
「そもそも、なんで隠し部屋なんて調べようと思ったのです?」
「昔から言われているわりには、実際にそういった部屋が見つからなかったからね。それが事実かどうかを確認したかっただけなんだが」
 壁に手を添えながらユースタスが答えた。
「一応、私だってこれからこの国を背負う者だからね。まして王城はこの国の象徴でもある。そこに私の知らない場所が存在するだなんて、それが許せない。その知らない場所で、何か勝手なことをしている者がいるとしたら、なおさらね」
「まさか。そのような人物が存在するのですか?」
「例えば、の話だよ。誰だって悪いことをするときは隠れてするものだろう? 灯台もと暗しとも言うようにね……」
 そこで口をつぐんだユースタスは、先ほどアンヌッカが説明したように、空いている手で宙に術式を描いていく。ぽつ、ぽつと光が生まれ、次第に広がっていくその光は壁一面を包み込んだ。
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