【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「ライオネルの父親は魔導士だったからね」
「そうなんですか? てっきり、同じ軍人かと……」
 ただ先ほどもユースタスが言ったように魔法発現の有無は遺伝に関係ない。アンヌッカの父も兄も、魔導士としての素質はあるものの、アンヌッカはさっぱりだった。その分、古代文字やら古代魔法やらといった研究のほうに興味を持ったのだが。
「しかし、君の父親がこの研究をしていたとは思えないな。あの人は、よくも悪くも真面目だったからね。息子もそれによく似ていると思うのだが」
 ライオネルは聞こえているのかいないのか、その言葉に反応を返さず、じっくりと文字を読み込んでいる。
 カサリとページをめくる音が室内に響く。
「……どちらかといえば、俺の父親は……この実験を止める側の人間だったのでは……」
 そう言ったライオネルの言葉の先は、沈黙に飲み込まれる。そう思いつつも、何かを疑っているかのように見えた。
 ――邪魔が入った。
 ライオネルが指摘するには、記録簿のところどころに、そう書かれており実験が中断されているようだ。
 具体的に誰かの名が記されているわけではない。ただ、実験の記録簿に邪魔が入ったため中断と、そう書かれているだけ。
「君の父親ならあり得そうだな。だけど、それをわずらわしいと思った誰かが君の両親を爆発事故に見せかけて消し去った……あり得なくないな……」
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