【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
また、シンと静まり返る。何かを考えるにしても、この場所では落ち着かない。
「あの、殿下……」
遠慮がちに声をかけたアンヌッカに、二人が彼女に顔を向けた。
「この部屋ですが……誰かが最近まで使っていたのは事実ですよね?」
「そうだね。少なくとも、十年前には出入りしていた人物がいるね」
「きっとその人は、誰にも知られないようにってここを使っていたわけですよね。むしろ昔から、この部屋はそういう使い方をされていたのではないでしょうか。知られてはならない魔法を研究する部屋。先ほど、古い魔導書のようなものの中身も拝見しましたが、同じように実験の結果が記された記録簿でした。こちらは百年ほど前のものでしたが」
「なるほどね。この部屋の存在意義がわかったような気がしたよ」
「さすがに百年前の人間は生きていないかもしれませんが、十年前の人であったらまだ生きていますよね? もしかしたら、最近も出入りしているのかもしれません」
「何が言いたい?」
相変わらずライオネルの言葉は冷たい。
「あの、殿下……」
遠慮がちに声をかけたアンヌッカに、二人が彼女に顔を向けた。
「この部屋ですが……誰かが最近まで使っていたのは事実ですよね?」
「そうだね。少なくとも、十年前には出入りしていた人物がいるね」
「きっとその人は、誰にも知られないようにってここを使っていたわけですよね。むしろ昔から、この部屋はそういう使い方をされていたのではないでしょうか。知られてはならない魔法を研究する部屋。先ほど、古い魔導書のようなものの中身も拝見しましたが、同じように実験の結果が記された記録簿でした。こちらは百年ほど前のものでしたが」
「なるほどね。この部屋の存在意義がわかったような気がしたよ」
「さすがに百年前の人間は生きていないかもしれませんが、十年前の人であったらまだ生きていますよね? もしかしたら、最近も出入りしているのかもしれません」
「何が言いたい?」
相変わらずライオネルの言葉は冷たい。