【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 ――ドッカーン!
 ライオネルが顔を伏せる。アンヌッカもゴクリと喉を鳴らす。
「あの爆発事故。もしかしたら、父親が実験に失敗をして起こしたものではないのかと思っていた時期もあった。だが、それは違った……」
「そうですね。マーレ少将のお父様は、最期までお母様のことを思っていらしたのですね」
「そうだな……だが、残された者の気持ちまで、考えはまわらなかったのだろうな……」
 その一言で、ライオネルの心の闇が見えたような気がした。だがそれはまだ、確かなものではない。
「いいえ。きっとお父様もお母様も、二人でマーレ少将の側にいたいと思ったのではないでしょうか?」
 ひくっとライオネルのこめかみが動いた。
「今の話を聞くかぎりですが、お父様だけでも助かった可能性はあります。ですが、それではダメだと。二人一緒に生き延びなければならないと。だから、二人で生き延びる手段をとったのです」
「……なるほどな。やはりおまえは面白いな。俺は魔法が嫌いだ。両親の命を奪ったものだからな」
「ですが、わたしは魔法が好きです。魔法は人の生活をよりよくするもの。人のためにあるべき存在。なんだって使い方を間違えれば怪我をします。肉を切るための包丁だって、凶器にはなりますからね。そうならないように、正しい魔法の使い方を導くのが、魔導士や研究者の役目だと思っています」

< 223 / 237 >

この作品をシェア

pagetop