【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
だが、屋敷内では自由に過ごしてかまわないと、ライオネルからの手紙には書いてあった。
(まぁ、わたしの家にもなるわけだし……)
誰もいないのに遠慮する必要はないだろう。
「ヘレナ。とりあえず屋敷内をひととおり見てまわろうと思うのだけれど」
ライオネルは、両親を若くして失っている。彼が軍人を目指したのも、それが理由の一つだと、釣書には書いてあった。いや、あれは釣書というよりは、彼が軍の入隊試験を受けるために提出した身上書のようなものだろう。そのまま、志望動機と書いてあった気がする。
「そうですね。まずは、浴室の場所を探さなくてはなりませんね」
あの使用人は、アンヌッカを部屋に案内したらさっさと帰ってしまったのだから、この屋敷のどこにどんな部屋があるのか把握できていない。
ヘレナの言うように、まずは浴室を探して湯浴みをしたいところだ。
ここは二階の西側にある部屋。エントランスから階段をあがってすぐの部屋だった。とにかく、ランプを手にして廊下に出る。広間があり、その向こう側に厠所があるのを見つけた。だが、浴室はここにはないようだ。
そうやって二階をぐるぐるまわったところで、やっと浴室にたどり着いた。
(まぁ、わたしの家にもなるわけだし……)
誰もいないのに遠慮する必要はないだろう。
「ヘレナ。とりあえず屋敷内をひととおり見てまわろうと思うのだけれど」
ライオネルは、両親を若くして失っている。彼が軍人を目指したのも、それが理由の一つだと、釣書には書いてあった。いや、あれは釣書というよりは、彼が軍の入隊試験を受けるために提出した身上書のようなものだろう。そのまま、志望動機と書いてあった気がする。
「そうですね。まずは、浴室の場所を探さなくてはなりませんね」
あの使用人は、アンヌッカを部屋に案内したらさっさと帰ってしまったのだから、この屋敷のどこにどんな部屋があるのか把握できていない。
ヘレナの言うように、まずは浴室を探して湯浴みをしたいところだ。
ここは二階の西側にある部屋。エントランスから階段をあがってすぐの部屋だった。とにかく、ランプを手にして廊下に出る。広間があり、その向こう側に厠所があるのを見つけた。だが、浴室はここにはないようだ。
そうやって二階をぐるぐるまわったところで、やっと浴室にたどり着いた。