【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「これが落ち着いていられるか!」
マーカスは、ドンとアンヌッカの机の上に拳をぶつける。その勢いで、ざざっと机の上の資料が崩れていくつか落ちた。
「お兄様。期待をしているからがっかりするのです。最初から期待しなければよろしいのですよ」
興奮しているマーカスとは正反対の落ち着いた声でそう告げたアンヌッカは、崩れた資料を拾ってそろえる。
「結婚といっても名ばかりの結婚ですから。相手に何かを求めるのは間違いです。わたしはわたしで、こうやって好きにさせてもらっておりますから」
あまりにもアンヌッカが淡々と告げるためか、次第にマーカスも落ち着きを取り戻す。
「ああ、そうだな。アンヌッカの言うことも一理あるな。僕たちは、マーレ大佐に期待しすぎていたようだ」
「お兄様、マーレ大佐ではありません。彼は結婚して、少将になったのですから」
マーカスの右眉がひくりと動いた。
アンヌッカの結婚の意味をあらためて感じたのだろう。
メリネ魔法研究所と王国軍の繋がりをもたせること。そして、ライオネルの昇進。
「ところで、お兄様。こちらの魔導書はいつまで解読すればよろしいのでしょうか? あまりにもの珍しさに、納期を確認するのを忘れておりました」
マーカスは、ドンとアンヌッカの机の上に拳をぶつける。その勢いで、ざざっと机の上の資料が崩れていくつか落ちた。
「お兄様。期待をしているからがっかりするのです。最初から期待しなければよろしいのですよ」
興奮しているマーカスとは正反対の落ち着いた声でそう告げたアンヌッカは、崩れた資料を拾ってそろえる。
「結婚といっても名ばかりの結婚ですから。相手に何かを求めるのは間違いです。わたしはわたしで、こうやって好きにさせてもらっておりますから」
あまりにもアンヌッカが淡々と告げるためか、次第にマーカスも落ち着きを取り戻す。
「ああ、そうだな。アンヌッカの言うことも一理あるな。僕たちは、マーレ大佐に期待しすぎていたようだ」
「お兄様、マーレ大佐ではありません。彼は結婚して、少将になったのですから」
マーカスの右眉がひくりと動いた。
アンヌッカの結婚の意味をあらためて感じたのだろう。
メリネ魔法研究所と王国軍の繋がりをもたせること。そして、ライオネルの昇進。
「ところで、お兄様。こちらの魔導書はいつまで解読すればよろしいのでしょうか? あまりにもの珍しさに、納期を確認するのを忘れておりました」