【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「あの方は、研究室にはおられないのですか?」
「はい。マーレ少将の専門は魔獣討伐です。ですが今回、魔獣討伐を行ったゾフレ地区から出てきた魔導書ということで、この件にかかわっておりますし、なによりも魔法研究部もあの人の直轄なので……」
そう言ったイノンの目はどこか宙をさまよっている。
「つまり、わたしとは縁のない方だと認識してよろしいですか?」
「あ、そうですね。カタリーナさんがこちらで仕事をする上では、書類にサインをする人だと思っていただければ」
立場としてはアリスタに似ているのだろう。執務室で仕事をこなし、必要なときにだけ研究室に顔を出す。あとは所員が出してきた報告書等を確認して、サインする存在だ。
「わかりました」
仕事をするうえで接点がないのであれば、カタリーナがアンヌッカだと知られる心配はない。その事実に胸をなでおろす。
イノンと並んで歩き、先ほどの研究室へと戻った。
机の上に乱雑に置いた荷物を片づけていると、イノンが分厚い魔導書を持ってやってきた。
「はい。マーレ少将の専門は魔獣討伐です。ですが今回、魔獣討伐を行ったゾフレ地区から出てきた魔導書ということで、この件にかかわっておりますし、なによりも魔法研究部もあの人の直轄なので……」
そう言ったイノンの目はどこか宙をさまよっている。
「つまり、わたしとは縁のない方だと認識してよろしいですか?」
「あ、そうですね。カタリーナさんがこちらで仕事をする上では、書類にサインをする人だと思っていただければ」
立場としてはアリスタに似ているのだろう。執務室で仕事をこなし、必要なときにだけ研究室に顔を出す。あとは所員が出してきた報告書等を確認して、サインする存在だ。
「わかりました」
仕事をするうえで接点がないのであれば、カタリーナがアンヌッカだと知られる心配はない。その事実に胸をなでおろす。
イノンと並んで歩き、先ほどの研究室へと戻った。
机の上に乱雑に置いた荷物を片づけていると、イノンが分厚い魔導書を持ってやってきた。