【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「だから?」
「だから、って酷いです。古代文字を覚えれば、古代文字で書かれた書物が難なく読める。いちいち辞書を引いて確認する必要がない。そうなれば、単位時間あたりに読める本の数が増えるんですよ!」
 アンヌッカが執務席にバン! と両手をついて力説をすれば「帰れ」ともう一度冷たくあしらわれる。
「ちょっと。人に古代文字解読を依頼しておきながら、その態度はあんまりではないですか? もう少し古代文字に興味を持ってください」
「残念だったな。おまえを派遣しろと頼んだのは俺ではない。嫌ならもう来なくていい」
「つまり、マーレ少将はあの魔導書の中身に興味がないと? あれに何が書かれているのか確認しなくていいとおっしゃるのですね?」
「そうだ。俺は魔法に興味がない。ただ、軍としてはあの魔導書に書かれている事案は貴重な資料の一つとなるだろう」
「……魔法に興味がない、ですって?」
 ふるふるとアンヌッカが怒りで身体を震わせているところに、第三者の声が割って入る。
「君たち、なかなか楽しそうな話をしているね」
「どこがですか!」
< 91 / 237 >

この作品をシェア

pagetop