【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 アンヌッカが振り返った先には、なぜか王太子ユースタスの姿があった。
「君がメリネ魔法研究所から派遣された子かな?」
 ユースタスとは結婚式で会っている。緊張のあまり、アンヌッカの心臓がきゅっと引き締まった。
「は、はい。メリネ魔法研究所のカタリーナ・ホランです」
「はじめまして。私はこの国の王太子、ユースタス」
「はい。存じ上げております」
「君さ……」
 ユースタスが何を言うのかと、つい身構えてしまう。
「所長の息子の奥さんの妹、なんだよね?」
「は、はい……?」
「じゃ、このマーレ少将とは遠い親戚筋になるわけだ。だってこの男。君のお姉さんの旦那さんの妹さんの夫」
 淀みなくユースタスが言葉にし、アンヌッカは必死で頭の中で家系図を描く。
「そうなのですね」
 余計なことは言わないようにと気を引き締める。
< 92 / 237 >

この作品をシェア

pagetop