【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
「ですが、まだわたしの話が終わっていません」
「俺の話は終わった。これ以上、話をすることはない」
「う~ん。残念だけど、これ以上、この人にしつこく食いついても無駄だと思うよ。今日はおとなしく帰りなさい」
「そ、そんな……」
 アンヌッカが悲しそうな声を出すと、ユースタスは突然、笑い出した。
「ははははは。君、最高だよ。ライオネルとまともに会話できる人物なんて、あそこの研究部にいなかった。はははは……じゃ、また明日ね」
 ユースタスは何が面白いのか、笑いすぎて目尻に涙をためていた。
 だがユースタスから「また明日」と言われたら、この場を去るしかないだろう。
「わかりました。また明日。あの魔導書の素晴らしさについて語りにきます」
 今度は、ぶふっとユースタスが噴き出した。
「では、失礼します」
 アンヌッカはきれいに頭を下げて、部屋を出ていった。

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