【電子書籍化】出世のために結婚した夫から「好きな人ができたから別れてほしい」と言われたのですが~その好きな人って変装したわたしでは?
 運び出されたものから、内容の確認に入った。数百年前のものだといっても、すべてが古代文字で書かれているわけではない。まずはそういったものから中身を確認し、大まかに振るいにかける。
 そして古代文字で書かれているものだけが残り、今、軍の魔法研究部が総出で解読している。しかし、その魔導書の数が膨大であるため、一部は外部委託し、その委託先がメリネ魔法研究所だったというわけだ。
 それはもちろん、ライオネルがそこの所長の娘と結婚したというのも理由の一つだが、そうやって定期的にメリネ魔法研究所に仕事をおろすことで、軍とのつながりをより強固に、そして他の仕事を受け入れられないように、ガチガチに縛り付けてやろうという魂胆も隠れている。
 とにかく、魔獣討伐の責任者としてのライオネルだが、その魔獣討伐の副産物についても、ライオネルの指揮下に置かれることになったのだ。
 はっきりいって、いい迷惑だ。
 だが、命令であればそれに従う必要がある。仕方なく魔法研究部の彼らと組んでいるだけ。
「会ってないって……いったいどんな新婚生活を送っているわけ? すでに家庭内別居?」
「家庭内別居というよりは、完全に別居だな」
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