【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
 金曜日の早朝、新横浜に向けて新幹線に乗り込んだ。

 新横浜駅で医局の先生方と待ち合わせし、シャトルバスに乗り込む。
 バスは予定通り20分ほどでパシフィコ横浜の会議センターに到着した。

「伊原さんは当日受付で参加証を購入して。
僕たちは会員だから事前申し込みが終わってるんだ」

「あ、はい! じゃあ行ってきます」

 医局の先生方の輪から抜け出し、私だけ当日一般の参加証を買いに行く。

「この参加証は裏が領収書を兼ねています。会場にいる間は必ず参加証を首からかけておいてくださいね」

「は、はい!」

 受付のお姉さんの指示通り、参加証を首にかける。

 なるほど、医局に帰ったらこれを提出して医局費で精算するのね。

「お待たせしました!」

「よし、じゃあ僕たちはポスターを貼りに行ってくるよ。
伊原さんはどうする? 
汐宮先生に会いにいく? 
パネルは午後からだから、まだ来てないかな」

「いや、会場にいるはずですよ。
俺、9時半頃到着って言ってあるんで」

 永真先生と同期の原田先生が答える。

 パネルディスカッションで発表する永真先生と、評議員懇親会がある黒川教授は前日入りしている。

 持参したポスターを貼り終えるのは初日の午前中となっているが、ポスターセッションの質問受付期間は明日の午前なので、皆さんとは違うスケジュールで動いているらしい。

 でもさすが同期、原田先生とは連絡を取り合ってたのね。

「そっか。じゃあそのうちどこかで会うだろう」

 全員で広いポスター会場へ入っていく。
 すると、森下先生に割り当てられた壁に、永真先生が腕を組んでもたれかかっていた。
 
「やっと来た……」

「あれ? 汐宮先生。ここで待ってたんだ」

「おはようございます。今着いたんですか?」

「ああ、みんなも今自分の壁を探しに行ってる」

 今日の永真先生は、限りなく黒に近い濃紺のスーツ姿だ。180cmの長身に肩幅の広さが際立つ。

 ネクタイを締め、前髪をアップバングにしているので、秀でたおでこにスっと通った鼻筋が強調されている。いつもより精悍さが増していて、まるで雑誌のモデルのようだ。

格好良すぎて目が離せない。見ているだけで心拍数が上がってしまいそうだ。
< 114 / 182 >

この作品をシェア

pagetop