【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
 運動会の翌日、汐宮家と伊原家の顔合わせが行われた。
 顔合わせの会場としてお母様が予約してくださったのは、以前にもお会いしたあのホテルだった。

 汐宮家からはご両親とお兄さんのご家族、伊原家は両親と双子、そして私たち二人の総勢11名が集まった。

 案内されたのは、騒がしくても大丈夫な小さな宴会場。
 両家とも子供たちがいることを配慮してくださったのだろう。

 USパークで既に顔見知りになっていたこともあり、一真くんは双子によく懐いていた。

 初めてお会いする永真さんのお父様は、お兄さんとよく似た雰囲気の、穏やかで孫が大好きなおじいちゃんといった感じの方だった。

 冒頭、お父様がこう話された。

「今日は叶恋ちゃんにやっと会えて嬉しく思うよ。私だけ会えてなかったからね。
……そして叶恋ちゃんのお父さん、お母さん。
こちらまで来ていただきありがとうございます。
お会いできるのを楽しみにしていました。なあ?」

「ええ! 私もお会いできて嬉しいです」

 それは思ってもみなかった歓迎の言葉で、ご両親の偽りのない歓待の気持ちが伝わってきた。

 反対はされていないと聞いてはいたものの、不安だった気持ちが一気に払拭された気分だった。

「もう何度も聞かされていると思うのだが、永真は本当に結婚できるのかと心配していたんだよ。
まったく女性に興味を示さなかったからね。
叶恋ちゃんと出会えてなかったらどうなっていたことか」

「それは永真さんのお仕事が忙しかったからですよ。
大学院を卒業されて、専門医も取られて、その……私たちが出会ったタイミングも良かったのだと思います」

 永真さんがずっと女性不信だった理由なんてここでは絶対に言えない。
 その原因がここにいるのだから。

 チラッと京香さんを見るが、我関せずといった感じで、いつものようにお兄さんと仲良さげに話している。

 京香さんにとってはもう随分昔の話で、付き合っていた期間も短いし、自分には全く関係のないことなんだろう。
 永真さんは女性不信になるほど傷ついたというのに。
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