【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「わー……ちょっと……」

「なんだ?」

「まさか私だと思わなくて……」

 初めてクッキングアイドルをしててよかったと思う、と言いながら、叶恋は紅潮した頬を両手で押え、目をキラキラさせている。

 正直、ドン引きされてもおかしくない話だが、この様子なら喜んでくれていると見てよさそうだ。

 ホッとしながら、俺は叶恋の隣に座った。

「信じられないのは俺の方だ」

「え?」

「まさか、本当に叶恋があのかれんだと思わなかった。
正直、俺が触れていいのかと思う」

「プッ……なんですか、それ。私、もうとっくに大人ですよ?」

「叶恋……」
 
 クスクス笑う大人になった叶恋の唇を奪う。
 
 あの頃の幼いかれんを思い浮かべると、一瞬自分が信じ難いことをしている背徳感に襲われるが、俺の腕の中にいる叶恋はしっかり応えてくれる。

「……たしかに、大人だな」

「そ、そういう意味じゃなくて……んッ、あ、待って……」

「待てない……今すぐ叶恋が欲しい」
 
 昔も今も、叶恋は変わっていなかった。

 家族を大切にする叶恋、頑張り屋の叶恋、メガネをかけると目が小さくなる叶恋、その全てを愛おしく思う。

 こうやって俺の腕の中にいる叶恋の温かさを感じると、愛おしさが込み上げる。

「好きだ」

「……っ! 永真さん……」

「今すぐ叶恋の中に入らないとおかしくなりそうなくらい好きだ」

「なっ……何言ってるんですか、もぉ〜っ!」

 叶恋が俺の胸をポカポカと叩く。全く痛くないのだが、その手を掴み、引き寄せ俺の腕の中に閉じ込めた。

「愛してる」

「…………私も、愛してる」

 顔を上げた叶恋が俺に口付けてきた。
 叶恋からのキスは初めてた。
 

 やっぱり、今夜は帰せそうにないな――
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