【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「やっぱムカつく。消毒が必要だな」

「へ? ……ンッ、ちょっ……!」

 降ってきたのは噛み付くようなキス。
 かと思ったら、途中からチュッ、チュッっと音を立て始めた。

 屈みながら、その啄むようなキスを私の顔中に降らせる。

「ふふっ……くすぐったいです」

「叶恋は俺だけのものだ」

「……はい。永真さんだけのものですよ。
私は幸せ者です…………え? キャッ」

 独占欲をむき出しにした永真さんが、私をひょいっと抱き上げる。

「ちょっと……まだ後片付けが!」

「後で構わない」

 これはどう考えても寝室に向かっている。
 ダメダメ。
 明日は大事な日なのに、片付けもせずにベッドに行くなんて!

「永真さん!」

 永真さんは、一向に聞く耳を持たないで寝室のドアをバーンと開けた。

 すると、真っ暗だと思っていた寝室には、薄暗いライトが二つ灯っていた。サイドランプの代わりに永真さんが置いているLEDのランタンだ。
 消し忘れ?
 明かりに驚いていると、ベッドの横に下ろされた。

「え?」
 
 ……スっと私の前に大きなバラの花束を差し出し、永真さんが跪いた。

「!!」

「ちゃんと、プロポーズしてなかったから」

「永真さん……」

「99本ある。叶恋に永遠の愛を誓うよ。
それから…………ずっと好きだった」

「あ……」

 かれんが初恋だと言ってくれた。だから――

「結婚しよう」

 バラの花束の陰に隠されていたのは、指輪が入ったケース。パカッと開けると、そこにはキラキラと光るダイヤの指輪が。

「叶恋、返事は?」

「……はい、結婚します。
私も……私も永遠の愛を誓います……」

「フッ……じゃあ、はめてもいいか?」

 コクコクと頷く私の左手を取り、薬指に指輪をはめてくれた。
 ほんの少しだけ緩い指輪。

「綺麗……」

「サイズと好みはお母さんに聞いて、1つ上のサイズにした」

「……?」

「うちの母親が、妊娠出産を繰り返すうちに浮腫んだりしてくるから、一つ緩い方が長く身につけられるって……」

 そんな先のことまで考えてくださったんだ。
 両家の母のアドバイスまで入った指輪だと思うと、なおさら感慨深い。

「昨日出来上がったものだから、ギリギリになって悪かったな」

「いえ! こんな素敵な指輪を頂けると思ってもみなかったから、嬉しくて……」

 嬉しすぎて、心臓がドキドキして、目頭が熱い。

「また泣いてるのか」

 ポンポンと頭を撫でてくれる永真さん。
 溢れ出る涙を親指で拭ってくれる。

「……ありがとう……ございます。大切にします。
……大好き。愛してる!」

 背伸びをして抱きついた私を、永真さんはぎゅっとと抱きしめてくれた。

「俺も……愛してる」
 

 ◇ ◇ ◇
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