【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
全身が黒っぽい装いのエイシンさん。
実はメガネもワンデーコンタクトレンズも忘れてきた私は、この時ほとんど彼の顔が見えていなかった。
だからこれが現実とは思えなくて、夢のような一夜の後の、夢のような朝のコーヒータイムだと感じていた。
エイシンさんの入れてくれたコーヒーは、香り高くて後味に独自の甘みが残る、最高の一杯だった。
「美味しい……」
「だろう? どれだけ急いでいても、毎朝この1杯だけは欠かせないんだ」
「これは……わかります。中毒性がありますね」
エイシンさんは満足気に頷いていた。
「……落ち着いたか?」
「え?」
「昨日は……落ち込んでいたようだったから」
「はい、おかげさまで……。
フラれたって、言いましたよね?
でも私が泣いていたのはフラれたからじゃないんです」
「は?」
「悔しさと……一瞬の絶望。それと自己憐憫、かな……」
「……どういうことだ?」
陽介にフラれたことより、私が傷ついたのは理沙の言葉だった。
あの人は父のことをお荷物だと言った。それが悔しかった。
後遺症が残っても、父が生きているだけで私は嬉しかったのだ。それに、父は頑張ってリハビリをして、社会復帰できるまでになっている。
私はそんな父を誇らしく思っていた。
でも努力は評価されず、人によっては無遠慮に『お荷物』だと評価してしまうのだと、理沙の言葉から気付かされた。
もちろんそんな人ばかりではないと思うけど、彼女のような考え方の人が一定数いるのは確かだ。
それが悔しかった。
一方で、私は現実を突きつけられたことに一瞬……ほんの一瞬絶望した。
何もかも昔とは変わってしまった今の環境に。
なんの憂いもなかった頃の家族にはもう戻れないのだと。
今の状況は一生続く。
あの人が言ったことはきっと正しい。
この先恋愛をするとしても、父の介護という状況を考えれば結婚出来ないかもしれない。
そんなことを考えて、自己憐憫に浸ってしまったのも事実だ。我ながら最低だと思う。
実はメガネもワンデーコンタクトレンズも忘れてきた私は、この時ほとんど彼の顔が見えていなかった。
だからこれが現実とは思えなくて、夢のような一夜の後の、夢のような朝のコーヒータイムだと感じていた。
エイシンさんの入れてくれたコーヒーは、香り高くて後味に独自の甘みが残る、最高の一杯だった。
「美味しい……」
「だろう? どれだけ急いでいても、毎朝この1杯だけは欠かせないんだ」
「これは……わかります。中毒性がありますね」
エイシンさんは満足気に頷いていた。
「……落ち着いたか?」
「え?」
「昨日は……落ち込んでいたようだったから」
「はい、おかげさまで……。
フラれたって、言いましたよね?
でも私が泣いていたのはフラれたからじゃないんです」
「は?」
「悔しさと……一瞬の絶望。それと自己憐憫、かな……」
「……どういうことだ?」
陽介にフラれたことより、私が傷ついたのは理沙の言葉だった。
あの人は父のことをお荷物だと言った。それが悔しかった。
後遺症が残っても、父が生きているだけで私は嬉しかったのだ。それに、父は頑張ってリハビリをして、社会復帰できるまでになっている。
私はそんな父を誇らしく思っていた。
でも努力は評価されず、人によっては無遠慮に『お荷物』だと評価してしまうのだと、理沙の言葉から気付かされた。
もちろんそんな人ばかりではないと思うけど、彼女のような考え方の人が一定数いるのは確かだ。
それが悔しかった。
一方で、私は現実を突きつけられたことに一瞬……ほんの一瞬絶望した。
何もかも昔とは変わってしまった今の環境に。
なんの憂いもなかった頃の家族にはもう戻れないのだと。
今の状況は一生続く。
あの人が言ったことはきっと正しい。
この先恋愛をするとしても、父の介護という状況を考えれば結婚出来ないかもしれない。
そんなことを考えて、自己憐憫に浸ってしまったのも事実だ。我ながら最低だと思う。