【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
自宅訪問
 こいつは自分のキャパを全く理解していないのだろうか。
 ワインをグラス一杯で爆睡したんだぞ。生中を一杯空けて、二杯目にまで手を出すなんてありえないだろう。

「二次会は無理そうだな」

「タクシーで帰らせるにしても、自宅がわからないよな」

「川崎さん、わかる?」

「いえ、メッセージIDは聞きましたけど、住所までは……」

「医局に戻れば履歴書があるのだが、個人情報だからなぁ……俺が取りにいくしかないか」

 医局長がまともな判断をする。だが俺は叶恋の家がどこにあるか知っていた。
 あの日、自宅近くまで車で送り、その後、遠目に入っていく家を見ていたからだ。

 仕方ない、ここは俺が……。

「俺が送ります」

「は? なんで汐宮先生が……」

「おいおーい。お前送り狼になるつもりじゃないだろうな」

「……うるさい」

 同期の原田が絡んでくる。

「てか、汐宮先生どうしたんですか?
 今日の医局でもそうだし。叶恋ちゃんに興味津々?」

「え、マジ? 女の子には(しお)対応のあの(しお)宮先生が?」

 川崎に後輩の上岡までが絡みだした。
 ギャグのつもりか? うるさいな。

「汐宮先生、送るって言うことは、もしかして伊原さんの家を知ってるとか?」

「知ってます」

 医局長の質問に、俺は即答した。
 しかしそれ以上のことを喋らない俺に、医局長はどうしたものかと教授に視線を投げかけた。
 
「……永真、大丈夫なんだな?」

「はい」

 実は黒川教授は俺の母方の叔父だった。

 俺が元々無口で、これ以上の理由をべらべら喋らない性格ということもわかっているのだろう。

 そして、今まで女性関係で問題を起こしたことがないということも。

 ハァーとため息をついて「じゃあ任せよう」と一言だけ言った。
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