【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「あ、じゃあ私たちも行きましょうか」

「あ、ああ……」

「えいしん先生ー! あのゲームやりたい」

「あ、バスケットだー!」

 双子がゲームを見つけて駆け出した。
 大きなキャラクターのぬいぐるみが取れるゲームだ。

 双子は汐宮先生の指導のもと、同じぬいぐるみをゲットした。大喜びでぬいぐるみに抱きつく二人。

「ありがとうございます。こんなに大きなぬいぐるみ、初めてですよ」

「家で邪魔にならないか?」

 確かに、大して広くもない家だから邪魔と言えば邪魔だけど。

「多分、しばらくは抱き枕になると思います。
それぞれのベッドの上に置くことになると思うから、大丈夫ですよ」
 
 小学五年生とはいえ、まだまだ子供。
 あれはきっと宝物になるはずだ。

「叶恋はいいのか?」

「え?」

「ぬいぐるみ」

「いえっ、私は……」

 可愛いとは思うけど、双子と同じぬいぐるみを抱きしめている自分を想像すると、ちょっとイタイ。

「あれ、取ってやろうか?」

 そう言って指をさしたのは、隣にあるハローちゃんのぬいぐるみが取れるゲームだった。

 ピンクに黒のドット柄の服を着たハローちゃんだ。
 可愛い!!
 でもさすがに……。

「ちょっと待ってろ」

「え? ちょっと……先生!?」

 汐宮先生はさっさとゲーム担当のキャストにお金を払い、5つあるバスケットボールを全てカゴに入れてしまった。
 
「わー! えいしん先生はハローちゃん?」

「ハローちゃんだー!」

「俺のじゃない。叶恋のだ。叶恋、ほら」

「へっ? わっ………キャー! ふかふか〜」

 ポンっと投げられたハローちゃんのぬいぐるみは、思った以上に大きくてふかふかの柔らかさだった。
 抱き心地も最高だ。

「…………ありがとうございます」

「ん。……ぬいぐるみで悪かったな」

 んん? どういうこと?

「叶恋もあのTシャツの方がよかったんじゃないのか? 叶恋とお母さんはハローのTシャツにすればよかったな」

「えっ? 何言ってるんですか?」

「違うのか? さっき『いいなぁ』って」

「言いました。言いましたけど、それはお世辞というか、その場の雰囲気で言ったんですよ」

「なんだ……ピンクのほうが可愛いくていいのかと」

 汐宮先生が意外そうな顔をしながらも、双子に呼ばれて先に行ってしまった。
 
 私は何かが引っかかった。
 ここでもまた、ピンクにこだわっている。

 ピンクにこだわっていると言えば、京香さんだ。
 いつも全身ピンクなんだもの。
 ひょっとして……。
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