【おまけ追加】塩対応の汐宮先生は新人医局秘書にだけ甘くとける
「……汐宮先生の基準は、京香さんなんですか?」

「は?」
 
 60分待ちのアトラクションの列に並びながら、どうしても気になったので聞いてしまった。
 
「ピンクにこだわっているのかと……。
お母様にお会いした時の服もピンクでしたし、今もピンクの方が可愛いって」

「そんな言い方はしてない!」

 汐宮先生はびっくりしたような顔で否定した。

「俺はただ、女はみんな可愛いものが好きなのかと。
色も……みんなピンクが好きなものなんだと思っていた」

「確かにピンクは可愛い色の代表かもしれません。
でも女性なら誰もがピンクが好きというわけじゃないですし、いかにも女の子らしい可愛いものを好きなわけでもありませんよ?」

「あ……」

「私は、ピンクもハローちゃんも大好きですが、この恐竜のTシャツもとても気に入っています。
これを6人で着て、パークを回れたことが嬉しいです」

「あ、ああ……そうだな……」

 言葉に詰まってしまったようだ。

 言うべきじゃなかったのかもしれない。
 でも私は、やはりどうしても気になったのだ。

 京香さんに対して、今はもうなんとも思っていないと言いながらも、意識しているように見えることが。

 未練? 今は義理の姉となった人だけど、初恋の人なんだもの、やっぱり未練があるのかしら。

 そう考えると、チクッと胸が痛んだ。

「かれんー、前に進んでるよー」

「えいしん先生ー!」

 気がつけば双子と私たちの間が5メートルは空いていた。

「ごめんごめん!」

「今行く」

 双子は待ち時間対策のためにゲーム機を持参していた。大きなぬいぐるみを抱えてゲームに夢中になりながらも、ちゃんと列を進んでいるというのに、私たち大人は一体何をしているんだ。

「叶恋?」

「はい……」

「俺はもう京香のことを何とも思っていない。
義姉だとも思えないが、甥の母親くらいには思っている」

「……」

「だから、京香がピンクを好んでいるから、という意味で言ったわけじゃないんだ。
その……単なる先入観というか……とにかく、京香は俺の基準ではない」

「そう……ですか……」

 どうしよう。やっぱり余計なことを言ってしまった。

 でもどうしても確認したかったのだ。
 今の汐宮先生の本当の気持ちを。

 はっきり違うと聞けたから、ちょっと嬉しい。
 嬉しいけど気まずいなぁ……。
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