本当の愛を知った御曹司ギタリストは歌姫を溺愛する
そして目を閉じていれば獅音がノックをする。

私は咄嗟に寝たフリをしてしまった。

そっと私の横に腰掛けて、頭を優しく撫でられる。

なんで…
なんでそんな優しく…

獅音の手から伝わる温もりが、この廃れた心を癒してくれるそんな感じがした。

私の頭から手が離れ、寂しさが襲う。
行かないで…

また頑張るから私。
少しだけ、少しだけ甘えさせて…

「獅音…」

私は咄嗟に獅音の服を掴む。

「また頑張れって言って…」

そしたら私頑張れる気がするから。

「お願い…抱いて…慰めて…」

獅音の温もりに包まれたい。
今だけ…逃れたいの…

すると獅音は大きく瞳を開けて、その奥を揺らしたかと思えば私をキツく抱きしめてくれた。

獅音…

そしてゆっくりと抱き締める力が緩まると、優しくも激しいキスが降ってきた。
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