黒澤くんの一途な愛


「それじゃあ、行くか。後ろ乗って」


ヘルメットを装着し、バイクに跨った黒澤くんの後ろに私も乗る。


「栞里、俺の腰に手をまわして」

「え?」

「こうだよ」


すると黒澤くんが私の手をつかんで、自分の腰にまわした。


きゃーっ。す、すごい密着!


まるで、バックハグをしているかのような体勢に、顔から火が出そうになる。


「いいか? しっかりつかまってろよ。でないと、マジで落ちるぞ」

「う、うんっ」


私は黒澤くんの腰に回している手に力を込め、彼にギュッと抱きつく。


黒澤くんの背中、大きくて温かい。


うぅ。でも、黒澤くんとこんなにも距離が近かったら、私の心臓のドキドキが聞こえちゃいそうだよ……。


「よし、行くぞ」


黒澤くんの掛け声でブォンとエンジンが勢いよくかかり、バイクが走り出す。


ライトをつけたバイクは、夜道を照らすように走っている。


「うわぁ、キレイ……」


真っ暗な空には無数の星が瞬き、明かりが灯る街はキラキラと輝いて見える。


少しひんやりとした風が、火照った頬に心地よい。

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