〜Midnight Eden〜 episode2.【蛍狩】
押し黙る美夜を乗せた車は北区を横断していた。
『とりあえず、また川島を見張るか』
「そうね。三人の死亡推定時刻から推察して、犯行は金曜の夜から土曜にかけて行われている。月曜や火曜に死体が発見されているということは、死体遺棄は日曜の夜」
『可能性はひとつずつ潰すしかねぇよな。本来は犯行の現場を現行犯で捕まえられたらいいが、俺達が見張ることで次の犯行の抑止になればいい』
「幸い、光も同じ団地内に自宅がある。今週末は川島と光を同時に張って、それでも次の死体が出たらあの二人は無関係だったと言える」
今朝の川島の行動は朝8時半に家を出て9時から印刷工場の勤務に就いている。仕事が終わるのは17時。
乾いた曇り空の隙間から太陽が顔を覗かせている。まだ明るい6月の17時過ぎ、工場の敷地から出てきた自転車を漕ぐ川島を二人は車内から目視で捕らえた。
『川島って車あるくせに通勤には自転車使ってる。持ってるだけで金がかかる車をなんで手放さないのか不思議だ』
「川島の前の家は調布だったよね。倒産した会社の借金返済で家も売ったんだっけ」
やがて傾き始めた太陽。西の空を赤く彩る夕陽が東の空に浮かぶ雲を染めている。
西に茜色、東にも茜色、上空には夕焼けが二つ存在していた。
川島の自宅がある六号棟の駐車場の出入りを監視できる位置に車を停めた。
近くのコンビニで購入したおにぎりで夕食を済ませた美夜達は、サラリーマン連続殺人事件と川島蛍殺害事件の二つの捜査資料を今一度読み返す。
美夜は三つの死体遺棄現場に着目した。
一人目は稲城《いなぎ》市の多摩川緑地公園、二人目は狛江《こまえ》市の古墳、三人目は府中《ふちゅう》市の武蔵野公園。
「調布を囲むように死体遺棄現場が集中してるよね」
『また調布か。川島が経営していた会社も調布だよな』
「会社の場所どこかわかる?」
『川島の前の会社は……ここだな。最初の死体発見現場の近く』
タブレット端末に調布市内の地図が表示された。川島が親の代から経営していた製紙工場は、鶴川街道から脇道に入った場所にある。
『とりあえず、また川島を見張るか』
「そうね。三人の死亡推定時刻から推察して、犯行は金曜の夜から土曜にかけて行われている。月曜や火曜に死体が発見されているということは、死体遺棄は日曜の夜」
『可能性はひとつずつ潰すしかねぇよな。本来は犯行の現場を現行犯で捕まえられたらいいが、俺達が見張ることで次の犯行の抑止になればいい』
「幸い、光も同じ団地内に自宅がある。今週末は川島と光を同時に張って、それでも次の死体が出たらあの二人は無関係だったと言える」
今朝の川島の行動は朝8時半に家を出て9時から印刷工場の勤務に就いている。仕事が終わるのは17時。
乾いた曇り空の隙間から太陽が顔を覗かせている。まだ明るい6月の17時過ぎ、工場の敷地から出てきた自転車を漕ぐ川島を二人は車内から目視で捕らえた。
『川島って車あるくせに通勤には自転車使ってる。持ってるだけで金がかかる車をなんで手放さないのか不思議だ』
「川島の前の家は調布だったよね。倒産した会社の借金返済で家も売ったんだっけ」
やがて傾き始めた太陽。西の空を赤く彩る夕陽が東の空に浮かぶ雲を染めている。
西に茜色、東にも茜色、上空には夕焼けが二つ存在していた。
川島の自宅がある六号棟の駐車場の出入りを監視できる位置に車を停めた。
近くのコンビニで購入したおにぎりで夕食を済ませた美夜達は、サラリーマン連続殺人事件と川島蛍殺害事件の二つの捜査資料を今一度読み返す。
美夜は三つの死体遺棄現場に着目した。
一人目は稲城《いなぎ》市の多摩川緑地公園、二人目は狛江《こまえ》市の古墳、三人目は府中《ふちゅう》市の武蔵野公園。
「調布を囲むように死体遺棄現場が集中してるよね」
『また調布か。川島が経営していた会社も調布だよな』
「会社の場所どこかわかる?」
『川島の前の会社は……ここだな。最初の死体発見現場の近く』
タブレット端末に調布市内の地図が表示された。川島が親の代から経営していた製紙工場は、鶴川街道から脇道に入った場所にある。