殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。
思わずそのハンカチをギュッと抱き締めてしまう。ドキドキと心臓の鳴る音を聞きながら。それが彼・レンデルの印象に残った瞬間だった。

「また……会えるかしら?」

 しばらく、そこで立ち尽くしていた。
 それがレンデルとセレスティンの運命を変えるとは知らずに。

 それから1ヶ月後。何者変わらずに忙しく過ごしていた。
 ウィルモットは相変わらず令嬢達と親しくしているようだ。態度もそのままで特に変化のない毎日。
 しかし、何やら廊下が騒がしかった。バタバタとしており、メイドたちも落ち着かない様子。

(何かあったのかしら?)

 セレスティンは、近くで警備をしていた騎士に聞いてみることに。

「どうかしたの? 騒がしいけど」

「あ、はい。どうやら聖女が、この国で見つかったみたいで」

「聖女!? それは本当なの?」

 このアルバーン帝国で聖女が見つかるなんて初めてのことだ。
 聖女とは神のご加護を頂いた特別な女性のことで、見つかると幸運をもたらすと言い伝えがある。
 他の国で現れてから平和になったと古い伝説にはなっていたが、まさか本当のことだったとは。

「事実みたいです。平民出身の方みたいですが、不思議な力で人の怪我を治すとか。さっき他の騎士から聞きました」

「……そう」

 本来なら大ニュースだし、国の幸運を願うなら喜ばしいことなのだが、何故だろうか? 何だか胸騒ぎがする。
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