お飾り妻は本日限りでお暇いたします~離婚するつもりが、気づけば愛されてました~
「美術品投資を?」
逸樹がやっているのは骨董品や美術品を購入し、欲しがるクライアントに渡すものだ。が、古く名のある品ほど贋作や模造品が多い。
今は専任の鑑定士や鑑定会社にすべてを任せているが、取引量が増えてきたことやすべてを鑑定士に任せると、そこそこの料金がかかってしまうため、下見や資料準備などの基本的な業務ができる人材を探しているのだそうだ。
今回、沙織が逸樹の仕事を手伝ったのも、いよいよ人手が足りなくなった逸樹が泣きついた(強引にお願いしたとも言う)という経緯がある。
「まあ、実体としては僕が資本金と会社の箱を用意して、クライアントを捕まえてくる。沙織は、そのクライアントの要望に添う品を探して、鑑定を手配し、資料にまとめる。……って感じなんだけど」
そこでコーヒーを一口飲んで、逸樹は続ける。
「ほら、学生時代、国立芸大に行って美術売買関係の仕事に就きたいと行っていただろう。今回仕事を頼んでわかったけど、君なら適任だと思う」
ちょうど、手頃な人材を探していたけど見つからなくてさ、と言われ沙織は目を瞬かす。
「報酬は美術品の売却額に合わせた出来高になっちゃうけど、悪い額じゃないと思う。どうかな」
「それは、私に就職しろと。働けと」
「……あ、嫌だった?」
「とんでもない! 私、自分で働いて稼いでみたいです!」
それで一億円稼げるかどうかは疑問だが、普通の人のように普通に働いて、普通に生きていく道が示されたことに顔が輝く。
「でしたら善は急げです。……今日は、付き合ってもらえるのでしょう?」
就職するとなるならいろいろ勉強をしなければならないし、スーツも多分必要だろう。
「教えて貰いたいこともありますし、もっと詳しい話をお聞きしたいです!」
「もちろん、沙織姫の仰せのままに」
学生時代とかわらないノリで軽口を叩く逸樹を前に、沙織は、初めてお菓子を貰った幼女のようにニコニコと笑顔を振りまいていた。
逸樹がやっているのは骨董品や美術品を購入し、欲しがるクライアントに渡すものだ。が、古く名のある品ほど贋作や模造品が多い。
今は専任の鑑定士や鑑定会社にすべてを任せているが、取引量が増えてきたことやすべてを鑑定士に任せると、そこそこの料金がかかってしまうため、下見や資料準備などの基本的な業務ができる人材を探しているのだそうだ。
今回、沙織が逸樹の仕事を手伝ったのも、いよいよ人手が足りなくなった逸樹が泣きついた(強引にお願いしたとも言う)という経緯がある。
「まあ、実体としては僕が資本金と会社の箱を用意して、クライアントを捕まえてくる。沙織は、そのクライアントの要望に添う品を探して、鑑定を手配し、資料にまとめる。……って感じなんだけど」
そこでコーヒーを一口飲んで、逸樹は続ける。
「ほら、学生時代、国立芸大に行って美術売買関係の仕事に就きたいと行っていただろう。今回仕事を頼んでわかったけど、君なら適任だと思う」
ちょうど、手頃な人材を探していたけど見つからなくてさ、と言われ沙織は目を瞬かす。
「報酬は美術品の売却額に合わせた出来高になっちゃうけど、悪い額じゃないと思う。どうかな」
「それは、私に就職しろと。働けと」
「……あ、嫌だった?」
「とんでもない! 私、自分で働いて稼いでみたいです!」
それで一億円稼げるかどうかは疑問だが、普通の人のように普通に働いて、普通に生きていく道が示されたことに顔が輝く。
「でしたら善は急げです。……今日は、付き合ってもらえるのでしょう?」
就職するとなるならいろいろ勉強をしなければならないし、スーツも多分必要だろう。
「教えて貰いたいこともありますし、もっと詳しい話をお聞きしたいです!」
「もちろん、沙織姫の仰せのままに」
学生時代とかわらないノリで軽口を叩く逸樹を前に、沙織は、初めてお菓子を貰った幼女のようにニコニコと笑顔を振りまいていた。