【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
ラウンジにて。
落ち着いた雰囲気のラウンジにつくと、お父さまたちに勧められるまま椅子に座る。
夜景を眺めながら、ノンアルコールのカクテルをいただくことになった。
お父さまたちは普通にカクテルを頼んだけれど、わたくしたちは学生だから……クロエはお酒を飲める年齢だけど、ノンアルコールカクテルを選んだみたい。
「それでは、今日出会えた奇跡に、乾杯」
乾杯、と軽くグラスを上げてから、一口飲む。甘い桃の香りと味がした。
お父さまは上機嫌そうににこにこしていたけれど、お母さまはツンとした表情でカクテルを飲み、お兄さまはそんな二人を見て肩をすくめる。
「そういえば、カミラ嬢は一緒ではないのですね」
「ああ……あの子は、やることがあると言ってね。誘ったけれど、来なかったんだ」
嘘ね。
たぶん、また閉じ込められたんだわ。あの部屋に。
成績が落ちるのも目に見えているし、なにより魔術師学科にいながら魔法が使えないんじゃ、落第になってもおかしくない。
「……公爵さま、マティス殿下は、わたくしのことを……?」
そう尋ねると、お父さまは「ああ、そうだった」とカクテルを飲んでから、口を開いた。
「とても可愛く、清廉な少女だ、と。心の芯が強く、めげずにがんばっていると……そう、聞いている」
「そうですか……」
……べた惚れね。マティス殿下に必要なのは、そういう人なのかもしれない。どう考えたって、わたくしよりもマーセルのほうが、彼とお似合いだし。
「めげるようなことが、あったのかい?」
心配そうなお父さまの言葉に、思わず言葉を失う。
夜景を眺めながら、ノンアルコールのカクテルをいただくことになった。
お父さまたちは普通にカクテルを頼んだけれど、わたくしたちは学生だから……クロエはお酒を飲める年齢だけど、ノンアルコールカクテルを選んだみたい。
「それでは、今日出会えた奇跡に、乾杯」
乾杯、と軽くグラスを上げてから、一口飲む。甘い桃の香りと味がした。
お父さまは上機嫌そうににこにこしていたけれど、お母さまはツンとした表情でカクテルを飲み、お兄さまはそんな二人を見て肩をすくめる。
「そういえば、カミラ嬢は一緒ではないのですね」
「ああ……あの子は、やることがあると言ってね。誘ったけれど、来なかったんだ」
嘘ね。
たぶん、また閉じ込められたんだわ。あの部屋に。
成績が落ちるのも目に見えているし、なにより魔術師学科にいながら魔法が使えないんじゃ、落第になってもおかしくない。
「……公爵さま、マティス殿下は、わたくしのことを……?」
そう尋ねると、お父さまは「ああ、そうだった」とカクテルを飲んでから、口を開いた。
「とても可愛く、清廉な少女だ、と。心の芯が強く、めげずにがんばっていると……そう、聞いている」
「そうですか……」
……べた惚れね。マティス殿下に必要なのは、そういう人なのかもしれない。どう考えたって、わたくしよりもマーセルのほうが、彼とお似合いだし。
「めげるようなことが、あったのかい?」
心配そうなお父さまの言葉に、思わず言葉を失う。