【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
「わたくしが礼儀作法を教えているのですから、当たり前ですわ。あの子はマティス殿下の婚約者ですから」
考えていた通り、わたくしがマティス殿下の婚約者だから、あんなに厳しかったのね。いえ、もしかしたら……ううん、これはただの憶測でしかないわ。
「マティス殿下とカミラ嬢は、想い合っているように見えますか?」
「いや、全然。だが、王族の婚約とはそんなものだろう?」
両肩を上げるお兄さまに、レグルスさま「この国はそうなんですね」と『この国』は、を強調する。ブレンさまはそんな会話に参加することなく、食べ物を注文して、クロエと食べていた。
幸せそうに食べているブレンさまと、心配そうにこちらを窺うクロエ。
「ああ、そういえば……おかしなことがあったな。カミラがマティス殿下との婚約を白紙にしたいと言ってきた」
「……まぁ、そうなんですか?」
「なにを言っているんだ、と一蹴したがね。反抗期というやつだろうか」
反抗なんて許さないくせに、なにを言っているのかしら。お父さまはマジマジとわたくしを見て、「もしかしたら」と微笑む。
「きみがマティス殿下と仲が良いから、カミラは嫉妬したのかもしれないね?」
ぞわっと鳥肌が立った。
勘違いもここまで来ると恐怖を感じる。
マティス殿下とマーセルの関係に気付いたのは、この身体になってからだ。
わたくしが眉を下げるのを見ると、お兄さまがもう一度わたくしの頭を撫でた。……なんだか複雑な気分だわ。
「小公爵さま?」
「ああ、すまない、つい……」
お兄さまは、マーセルのことをこんなふうに可愛がりたかったのかしら。だとしたら、中身が『カミラ』で残念ね。
考えていた通り、わたくしがマティス殿下の婚約者だから、あんなに厳しかったのね。いえ、もしかしたら……ううん、これはただの憶測でしかないわ。
「マティス殿下とカミラ嬢は、想い合っているように見えますか?」
「いや、全然。だが、王族の婚約とはそんなものだろう?」
両肩を上げるお兄さまに、レグルスさま「この国はそうなんですね」と『この国』は、を強調する。ブレンさまはそんな会話に参加することなく、食べ物を注文して、クロエと食べていた。
幸せそうに食べているブレンさまと、心配そうにこちらを窺うクロエ。
「ああ、そういえば……おかしなことがあったな。カミラがマティス殿下との婚約を白紙にしたいと言ってきた」
「……まぁ、そうなんですか?」
「なにを言っているんだ、と一蹴したがね。反抗期というやつだろうか」
反抗なんて許さないくせに、なにを言っているのかしら。お父さまはマジマジとわたくしを見て、「もしかしたら」と微笑む。
「きみがマティス殿下と仲が良いから、カミラは嫉妬したのかもしれないね?」
ぞわっと鳥肌が立った。
勘違いもここまで来ると恐怖を感じる。
マティス殿下とマーセルの関係に気付いたのは、この身体になってからだ。
わたくしが眉を下げるのを見ると、お兄さまがもう一度わたくしの頭を撫でた。……なんだか複雑な気分だわ。
「小公爵さま?」
「ああ、すまない、つい……」
お兄さまは、マーセルのことをこんなふうに可愛がりたかったのかしら。だとしたら、中身が『カミラ』で残念ね。