【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
一度言葉を切り、グラスを動かしていたのを止め、くっと一口飲む。
「――そう、亡命した貴族や戦で住む場所を失った人たちも。そんな人たちが集まってリンブルグは大きくなった。我が国の民たちは幸せそうに暮らしていますよ。スラムもないし、みんなが自由に生きられる国ですから。……この国とは違って、ね」
挑発するような視線を受けて、お父さまたちが言葉を呑んだ。
……リンブルグのことは少しだけレグルスさまたちから聞いただけだったけれど、この国の在り方とはまったくと言っていいほど違うのね……
「カミラ嬢の幸せを願うのならば、マティス殿下とは結婚しないほうが良いでしょう。彼には意中の相手がいるのですから。……そうだな……どうしても、彼女とマティス殿下を結婚させるというのなら、一つ、賭けをしてみませんか?」
「賭け、だと……?」
「ええ。俺とマティス殿下が一騎打ちをするのです。勝敗がわかりやすいでしょう? 勝ったほうがカミラ嬢を娶る。……一ヶ月後にはパーティーがありますからね。そのときにでも。どれだけ強いのか、パフォーマンスにもなりますし」
……騎士学科で、マティス殿下に勝てる人はいないと聞いている。
どうして、そんな賭けをしようと思ったのかしら……?
わたくしが呆然としていると、お父さまはぽかんと口を開け、肩を震わせて笑い出した。
「面白い、陛下にそう伝えてみよう」
「ええ、必ず伝えてください」
……ところで、わたくしの意向は無視ですか……?
「――そう、亡命した貴族や戦で住む場所を失った人たちも。そんな人たちが集まってリンブルグは大きくなった。我が国の民たちは幸せそうに暮らしていますよ。スラムもないし、みんなが自由に生きられる国ですから。……この国とは違って、ね」
挑発するような視線を受けて、お父さまたちが言葉を呑んだ。
……リンブルグのことは少しだけレグルスさまたちから聞いただけだったけれど、この国の在り方とはまったくと言っていいほど違うのね……
「カミラ嬢の幸せを願うのならば、マティス殿下とは結婚しないほうが良いでしょう。彼には意中の相手がいるのですから。……そうだな……どうしても、彼女とマティス殿下を結婚させるというのなら、一つ、賭けをしてみませんか?」
「賭け、だと……?」
「ええ。俺とマティス殿下が一騎打ちをするのです。勝敗がわかりやすいでしょう? 勝ったほうがカミラ嬢を娶る。……一ヶ月後にはパーティーがありますからね。そのときにでも。どれだけ強いのか、パフォーマンスにもなりますし」
……騎士学科で、マティス殿下に勝てる人はいないと聞いている。
どうして、そんな賭けをしようと思ったのかしら……?
わたくしが呆然としていると、お父さまはぽかんと口を開け、肩を震わせて笑い出した。
「面白い、陛下にそう伝えてみよう」
「ええ、必ず伝えてください」
……ところで、わたくしの意向は無視ですか……?