【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
化粧をしているようにも見えないし……貴族の令嬢のように、バリバリのメイクをしろってことではないのだけどね。
あれって一歩間違えば……いえ、今はそんなことを考えなくても良いわよね。
「……カミラさまのほうが美しいですよ」
「そりゃあ、アレだけ磨かれたら、誰だって美しくなるわよ……」
思わず遠い目を浮かべてしまう。
メイドたちにピッカピカに磨かれて、化粧水やら美容液やらを塗りたくられ……。それが普通だったので、マーセルの身体になって驚いた。
彼女の部屋にあるのは、オールインワンの基礎化粧品だったから。
「公爵令嬢って大変なんですね……」
「その役目も終わりそうで良かったわ」
「……大丈夫ですか?」
心配そうな声に、わたくしは眉を下げて微笑む。
まだ、大丈夫と言い切ることはできないけれど……お父さまたちの考えを聞いて、もう二度とあの場所に戻りたくないと思ってしまった。
「……マティス殿下とレグルスさまは、どちらのほうが強いのかしら?」
「うーん……どちらでしょう。マティス殿下も、腕が立ちますよね」
「ええ。……みんな、彼に遠慮しているのかもしれないけれど……」
マティス殿下に勝とうとしていないかもしれないし……憶測でしかないけれどね。
そんな会話をしていると、五分なんてあっという間に過ぎる。
蒸しタオルを取り、トリートメントを洗い流した。
「こんな感じでやってみてもらえる?」
「かしこまりました」
乾いたタオルでクロエの髪を包み込んでから尋ねる。
彼女は神妙な顔でうなずき、立ち上がってわたくしを椅子に座らせた。
シャワーを手にして、髪を濡らしていく。
わたくしがやったのを真似するように、シャンプーを泡立ててわしゃわしゃと洗っていく。やっぱり覚えるのが早いわね。
心地良い力加減で洗われて気持ち良かった。
あれって一歩間違えば……いえ、今はそんなことを考えなくても良いわよね。
「……カミラさまのほうが美しいですよ」
「そりゃあ、アレだけ磨かれたら、誰だって美しくなるわよ……」
思わず遠い目を浮かべてしまう。
メイドたちにピッカピカに磨かれて、化粧水やら美容液やらを塗りたくられ……。それが普通だったので、マーセルの身体になって驚いた。
彼女の部屋にあるのは、オールインワンの基礎化粧品だったから。
「公爵令嬢って大変なんですね……」
「その役目も終わりそうで良かったわ」
「……大丈夫ですか?」
心配そうな声に、わたくしは眉を下げて微笑む。
まだ、大丈夫と言い切ることはできないけれど……お父さまたちの考えを聞いて、もう二度とあの場所に戻りたくないと思ってしまった。
「……マティス殿下とレグルスさまは、どちらのほうが強いのかしら?」
「うーん……どちらでしょう。マティス殿下も、腕が立ちますよね」
「ええ。……みんな、彼に遠慮しているのかもしれないけれど……」
マティス殿下に勝とうとしていないかもしれないし……憶測でしかないけれどね。
そんな会話をしていると、五分なんてあっという間に過ぎる。
蒸しタオルを取り、トリートメントを洗い流した。
「こんな感じでやってみてもらえる?」
「かしこまりました」
乾いたタオルでクロエの髪を包み込んでから尋ねる。
彼女は神妙な顔でうなずき、立ち上がってわたくしを椅子に座らせた。
シャワーを手にして、髪を濡らしていく。
わたくしがやったのを真似するように、シャンプーを泡立ててわしゃわしゃと洗っていく。やっぱり覚えるのが早いわね。
心地良い力加減で洗われて気持ち良かった。