【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜
 リンブルグってなんでもあるのね、と考えた記憶があるの。

 この国にはなにがあるかしら、と思考して……ワイン、かな。名産品。あとは果物も美味しいと思う。

「……こんなにゆっくりとお風呂に入ったの、久しぶりです」
「忙しかったのね」
「はい。いろいろと……。良いですね、なんだか、心まで癒される気がします」
「……そうね。わたくしも、そう思うわ」

 身体が温まったら眠くなってきた。

 眠る前に、髪をきちんと乾かして、肌の手入れをしなくては。

 そんなことを考えつつ、クロエとのお喋りに夢中になってしまった。

 だって、彼女の見ている世界は、わたくしにはとっても新鮮だったのですもの!

「すっかり長湯してしまいましたね……」
「お水が飲みたいわ……」

 湯船から上がって、タオルで水滴を(ぬぐ)ってからバスローブへ袖を通す。

 長湯で身体がぽかぽかとし過ぎちゃって、冷たい水を求めて歩けば、クロエに「私が用意します」と駆けていった。

 コップに水を入れて持ってきてくれたので、それを受け取りごくごくと一気に飲む。

「はぁ、美味しい……」
「お風呂上りの一杯は格別ですよね」

 クロエは自分の分の水を同じように一気に飲む。

 一気の身なんて、カミラの身体じゃできなかったわね。

 そんなことを考えて口角を上げると、クロエが首を傾げた。

「さ、寝る前にスキンケアの仕方を教えるわね」
「はい、カミラさま」

 スキンケアの仕方や、肌に塗る化粧品の話をしながら実践してみせる。

 クロエの肌にもスキンケアをしたから、明日が楽しみね。

 髪のケアの仕方やわたくし好みのオイルを教えながら手入れをした。

 ……こういうのも一度、やってみたかったのよね……!

 すべての手入れを終えて、わたくしたちはベッドに潜り込み、そのまま目を閉じて――あっという間に眠りに落ちた。
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