【完結】トレード‼︎ 〜婚約者の恋人と入れ替わった令嬢の決断〜

デート、再び。

 朝、ゆっくりとした動きで起き上がり、ベッドから降りる。

 窓に近付いてカーテンを覗いてみれば、空は目に染みるほどの晴天だった。

 もぞもぞと動く音が耳に届き振り返ると、クロエが「カミラさま……?」とわたくしを探しているようだったので、小さく笑みを浮かべてから彼女に近付く。

「おはよう、クロエ」

 声をかけると、彼女はがばっと起き上がった。

「おはようございます、カミラさま――って、もう朝ですか!」

 遮光性の高いカーテンを使っているようだから、朝だと気付きづらいかもしれないわね。

 クロエは辺りを見渡して、ホテルに泊まっていることを思い出したのか、少しだけ動きを止めてベッドから降りた。

「身支度をしましょう?」
「は、はい……」

 顔を洗ったりスキンケアをしたり服を着たりと、朝の準備は忙しい。

 顔を洗ったあと、クロエが「つるつるしている……」とつぶやいたのが印象的に残り、思わず彼女に視線を向ける。

 スキンケア効果、バッチリね。

 服を着替えて髪型を整えていると、扉がノックされた。

「私が行きます」
「お願いね」

 クロエが扉に向かって走っていく。そして、扉の前で言葉を()わすとすぐに戻ってきた。明るい表情を見て、首をかしげる。

「レグルスさまでした。今日は別のところをデートしようって」
「……!」
「あら、お顔が真っ赤」
「クロエっ!」

 楽しんでいるであろう彼女に声を荒げると、くすくすと笑われた。

 自分でも赤くなっていることがわかるのだから、指摘しないでほしい。

 熱くなった頬を冷ますように、手の甲を当てた。
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